君がくれたもの


インターホンを鳴らすとすぐに出てきたおばさんは、

冷夏さんを見て泣きながら抱きしめた。

だけど、私の腕にいる直樹くんと、

冷夏さんの腕の中にいる怜奈ちゃんを見て、

目を見開いた。

「…お久しぶりです。」

ぺこりと頭を下げた冷夏さん、

「…もしかして、2人は…。」

「…はい。
直人との子です。」

そう言った冷夏さんに

おばさんは私の腕の中の直樹くんを見つめてから、

その腕にその子を抱きしめて泣き崩れた。

「…そっかぁっ、そっかぁ。」

そう言って、泣きながら

ありがとう、ありがとう。

そう言って涙を流した。


リビングに通された私と冷夏さんと怜奈ちゃんと直樹くん。

「…名前は?」

「…女の子は怜奈Reinaと男の子は直樹Naokiです。」

そう言うと、

震えながら2人に手を伸ばしたおばさん、

「…おばぁちゃん?」

コクリと首を傾げた怜奈ちゃん。

「…ばぁばぁ?」

怜奈ちゃんの後ろに隠れてビクビクしている直樹くん。

「…なんでっ、」

…わかったの。
その後に続く言葉は安易に予想できた。

笑顔でおばさんに駆け寄る2人。

「まぁまがねっ!しゃしんみせてくれるの!
ぱぁぱは?
ぱぁぱにあいたいよ!
っていうとね、まぁまいつもいたいいたいよ、なの。」

小さい子独特の話し方。

痛い痛いって、泣くってことだよね?


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