君がくれたもの
すやすや眠る怜奈ちゃんと直樹くんを優しく見つめながら、ゆっくりと話し始めた
冷夏さん。
「直人が事故にあった時、日菜子ちゃんに言ったように私は入院してたんです。
妊娠中毒で、
病院に確認してもらっても構いません。
毎日来るはずの直人が事故があった日を境にぱったりと来なくなりました。
…私は捨てられたんだ。
そう思ってました。
なら、1人でこの2人を育てる。
そう決めた時、
1つ下の美麗が私の病室に来て、
お姉ちゃんの仇は取っておいた。
そう言ったんです。
その時の私は意味がわかりませんでした。
だけど、2人が生まれてから、
直人が事故にあったこと、それは一緒にいた本命の彼女を庇って事故にあったと聞いて、
私は少なからず優香ちゃんを憎みました。
…だけど、この2人だけで私は充分で気づけば恨みなんてありませんでした。」
穏やかに笑う冷夏さん。
「私、最近までお母さんたちが転勤した九州に行ってたんです。
2人が生まれてからずっと、
戻ってきたのは先月です。」
…え?
春休みにあった、冷夏さんは…?