君がくれたもの


教室に着くと、

もうみんなはいなくて、

気づけば6時間目が終わっていた。

鬼先は、教室で私と金澤が来るのを待っていたみたいで、

泣き続ける私を見て、鬼先は

「ごめんな。」

そう言って、私の頭をポンポンと撫でて帰って行った。


2人きりの教室。

「みんな気づいてたよ。」

教室に響いた切なそうな金澤の声。

私はもう落ち着いていて、

静かに金澤の話に耳を傾けていた。

「松原と、あの女が浮気をしてるの気づいてた。

無理に笑ってる日菜子ちゃんにも気づいてたよ。」

オレンジ色に染まる教室で告げられる事実は重くて、

乾いた笑いが出てきた。


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