君がくれたもの


みんなはそれを泣きながら見つめていて、

「「ぱぁぱぁ!」」

と、直人さんの体を揺する双子ちゃんを止める冷夏さん。

2人はおとなしく冷夏さんのそばに駆け寄ると直人さんを見つめている。

「直人?
本当に直人はいつも寝てるね。
でも今回は寝すぎじゃない?
早く起きてよ。

ごめんね。
直人の大切な人を私の妹が傷つけてごめんね。
私のこと許さなくていいよ。

だけど、この子達の名前を一回でもいいから呼んでほしい。

お願いだから目を覚ましてほしいよ。」

ポツリと冷夏さんの頬を滑って、直人さんの頬へと涙が落ちた。


その瞬間、私の気のせいかもしれないけどピクリと動いた指。

「…今動いた?」

大翔と大輝の声に、


気のせいじゃない、そう思った時

直人さんの瞼が徐々に開いて行った。


皆が息を呑んで見つめた。

そして、茶色い瞳が冷夏さんの姿を捉えた時、


微かだけど、


……直人さんが笑った。




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