君がくれたもの
そして、
コツコツとヒールを履いてやってきた、
美麗さん。
大輝と私と佐倉が無意識に立ち上がって優香を庇うように優香の前へとたった。
だけど、
私たちの前におばさんとおじさんが立ち上がって、
そして1番前に冷夏さんと大翔が立った。
「…なんで来たの。」
低い冷夏さんの声が廊下に響き渡った。
びくりと震えた怜奈ちゃんと直樹くんを、私は抱きしめた。
「大丈夫だよ。」
そう笑って頭を撫でると、
涙目でコクリと頷いた。
優香は、
「怜奈ちゃん、直樹くん、お姉ちゃんのところおいで。」
そう言って腕を伸ばした。
2人は人見知りはないのかテクテクと優香の元へと向かった。
それがどんなに冷夏さんが愛情を注いでいるのか、すぐにわかった。
前を向き直ると
大輝に握られた手。
大輝は微かに震えていて、
「…大丈夫。
何かあったら大輝も優香も私が守る。」
と手を握り返した。
そんな私を目を見開いて見下ろした大輝。
だけど私はずっと美麗さんを見つめていた。