君がくれたもの


「全部あんたが悪いのよ!

全部!全部!あんたが!

何もかもあんたが持って行った!

親からの愛も!学力も!運動神経も!全部あんたが持って行った!

終いには、直人さんまで!」

そう言った美麗さんは

「殺してやる。
あんたも、あんたの娘と息子も殺してやる。
私が冷夏になってやる!」

そう言って包丁を取り出した。

血走った目で、

「まずは、あんたの大切たものから奪ってあげる。」

そう言って怜奈ちゃんと直樹くんの元へと走って行った。

「怜奈!直樹!」

私は思わず美麗さんの包丁を持つ腕を掴んだ時、
振り払われた腕の先にある包丁が

私の頬を掠めて血が流れた。

「「「日菜子!!」」」

「「「日菜子ちゃん!!」」」

「桐谷!」

みんなの叫び声が聞こえても、

痛くても私は絶対に手を離さなかった。

「行かせない!
殺させない!
大輝と優香の大切な人をもう傷つけさせない!」

ぎゅっと握った腕に力を込めると、

顔を歪めた美麗さん。




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