君がくれたもの
「じゃあ、まずあんたを殺してあげる!」
そう言って、振り上げられた包丁。
「私を殺して済むなら、殺しなさいよ!
だけど、大輝にも、優香にも、佐倉にも、冷夏さんにも、怜奈ちゃんにも、直樹くんにも、直人さんにも、おばさんにも、おじさんにも、手出しは絶対させない!
私の大切な人を傷つけたら絶対に許さない!」
そう言うと、
怒りに顔を歪めた美麗さんは包丁を振り下ろした、
目を瞑った時、
「…そこまでにしようか。」
低い声が廊下に響き渡った。
目を開くと
瀬山先生が包丁を持つ美麗さんの腕を掴み上げていて
冷たく見下ろしていた。
「これ以上勝手したら、許さないよ。」
私の足元には血溜まりができていて、
ホッとしたからなのか、血がですぎたのか、
ふらりと後ろへと倒れる体。
「「「「日菜子ちゃん!!」」」」
「「「日菜子!!」」」
床に体を打ち付ける前に支えられた体。
「…大輝。」
「無茶しやがって、バカ日菜子。」
涙を流す大輝。
「ごめんね、今力はいらないや。」
弱々しく笑う私に、
「そんなの気にすんじゃねぇよ。」
と涙を流しながら笑った大輝を最後に私は意識を失った。