君がくれたもの
「そっか。
みんな知ってたのかー。」
なら、
あの鬼先の言葉もわかる。
そっかそっか、
みんな気づいてたのか。
「んー、私も気づいてたけどね、
悠介と、麻美を手放したくなかったんだ。」
汚い天井を見上げて泣くのをこらえながら出たのは、
ずっと思っていたこと。
なんでだろう?
なんで金澤には素直になれるんだろう。
きっと、
静かに私の話に耳を傾けてくれるから。、
「ずるいよね、
私が一番最低なんだ。
彼氏と親友が想いあってるのに気づいてたのに、
手放せなかったの。
最低だよね。」
震える声も無視して、
こんなに私饒舌だったっけ、
と、自分に苦笑いが出てきてしまう。
「もう、最低すぎて罵られてもしょうがないって思ってた。」
「だけど、罵ってたのは、
私だった。」
「罵られたんじゃない。
一番私が最低なのに、一番、私が最低なのに、
罵ってたのは、私だった。」
ポロリと零れた涙と共に抱きしめられた私。