君がくれたもの


直人さんの病室に入ると、

直人さんは、クッションで体を起こして笑っていて

怜奈ちゃんと直樹くんと冷夏さんは幸せそうに笑っていて、

おばさんとおじさんも笑っていた。

私たちに気づいた直人さんは、

笑顔を私たちに向けてくれた。

と同時に、

「お兄!」

「直人!」

優香と大翔は泣きながら直人さんに飛びついた。

「…大輝も行ってきな。」

と笑って背中を押すと

大輝も直人さんのところへと走って向かった。


佐倉と私は病室の壁に寄りかかってみんなを眺めていた。

「…美麗さん捕まったよ。」

いきなり話しかけられて驚いて見上げると、

「桐谷が倒れた後すぐに警察が来て、
警察署に連れてかれたんだ。」

と教えてくれた。

冷夏さんとおばさんとおじさんは私に気付くと駆け寄ってきて、

ありがとう。と何度も言ってきた。

そして、必然的に
私の存在に気づく直人さん。

直人さんと目があってぺこりと頭を下げて、

「はじめまして。」

と愛想笑いを浮かべた。

…夢であった時はあるけど

あくまでも夢だ。


そう思っていると、


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