君がくれたもの
「ここからじゃ、遠くない?」
私の問いかけに、
亜美は悲しく笑うと
「うん、だから一人暮らしするの。
地元から4年間は離れるかな。」
「…寂しくなるね。」
しんみりとした空気の中、
響くのはバスケをドリブルする音。
床と靴の擦れる音。
「そうだね。
だけど、私達なら大丈夫だよ。」
柔らかく笑った亜美に私と優香は涙をこらえた。
「…日菜子は?」
優しい眼差しを向けられた私。
まだ、定かじゃないけど、
「…私は、」
ダンッ!
大輝がゴールを決める音が響いた時、
「…今までの辛い経験を生かして、
私が大輝とか優香とか亜美とか佐倉とか相良とか、
みんなに助けられたように、
私も誰かを助けたいと思ってる。」
私の言葉にみんなの視線が集まった。
「…心理カウンセラー?」
亜美の問いに私は頷いた。
「…うん、もう2度と美麗さんみたいな人を出したくない。
優香と大輝とか冷夏さんとか直人さんが巻き込まれて苦しむ人を見たくない。
亜美みたいに苦しむ人を助けたい。」
自分の意見を言えるのはきっと、
自分の意見を聞いてくれる人がいるから。
私は、誰かの意見を聞ける人になりたい。