君がくれたもの
《別れよう。》
俺の目を見ずにお腹に手を当てていた日菜子。
かばうようにお腹を抱えていた日菜子。
《大輝より大切な人ができたの。
私はその人のそばにずっといるって誓ったの。
だから、別れて欲しい。》
日菜子の言葉1つにどん底に落とされた気分の俺。
だけど、去り際に、
《私を愛してくれてありがとう。
私も大輝を心の奥底から、世界で1番大輝だけを愛してた。
こんな私を許さなくていいよ。
だけど、大輝の夢は絶対に叶えて欲しい。
本当にあなたを愛していました。
弁護士の夢応援しているから。
さよなら大輝。》
日菜子の涙と言葉が俺の頭から離れない。
…離さないって言っといて、
こんな簡単に手放した俺。
ごめん、ごめんな、日菜子。
優香が迎えに来てくれるまで俺はずっと大雨の中涙を流していた。