君がくれたもの
次の日、まだダルさは残りつつ俺は日菜子の家へと向かった。
改札には桐谷と書かれていて、
インターフォンを鳴らすと、
「はーい。」
いつものおばさんの声。
ガチャっと開いた扉、
俺の姿を見た瞬間目を見開いたおばさんは穏やかに笑った。
「…いらっしゃい、大輝くん。」
中に促されて入るとシーンと静まり返る家。
リビングに通されて、
ダイニングテーブルの椅子に座るように言われて俺は静かに座った。
「今は、ごめんね。
日菜子はこの家にいないの。」
無理やり上げた口角。
「…日菜子は今どこにいるんですか?」
そう聞くとおばさんは、
静かに首を振った、
「…私の口からは言えない。
大輝くんは日菜子を忘れて大輝くんの人生を歩んでちょうだい?
日菜子は、大輝くんが弁護士になるのを望んでいるわ。」
ふわりと笑ったおばさんは日菜子の叔母さんということもあり、
笑顔がどことなく似ていた。