君がくれたもの


日菜子side

大輝に別れを告げてから6ヶ月が経った。

世間では入学式が終わった頃。

私は大輝に別れを告げた次の日から入退院生活を送っていた。

理由は、貧血。

妊婦さんは貧血になることが多いらしくて、

この歳なら尚更多いらしい。

けど、今は出産間近ということで入院中。


大きくなるお腹と共に愛しく思う気持ちもどんどん大きくなっていく。

私は今実家に住んでいて、この子が大きくなって仕事ができるようになったら仕事をしてアパートでも借りる。

高校生活で貯めたお金で
もうベビー用品も全部揃えた。

余計なことを考えないように、家事に全てを費やしたりしていた。

なのに、やっぱり大輝のことが忘れられない。


元気にしているか、

新しい彼女はできたのか、

そんなことばかり気がついたら考えてしまっている。

病室から緑の大きな木を眺めていると、

コンコン、

ノックがされた。


「…はい。」

大翔かな?

そう思いながら、ただ大輝だけを想って窓の外を眺めていた。

ガラッと開いた扉、

「…?!大輝?!」

窓に映った人の姿は大輝の背丈そのもの。

だけど、

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