君がくれたもの

振り返って私は現実を見た。

そこに立っていたのは直人さん。

「ヒナ、久しぶり。」

と無邪気に笑う直人さん。

「どうしてここだとわかったんですか?」

…直人さんや大輝が私を探しているのは知ってた。

だけどなんでここがわかったの…?

そう思っていると、

「3人目が出来たんだ、
そんで検診に来た時に日菜子ちゃんに似た子を見たから、まさかなぁって思ってて、看護師さんに聞いたらビンゴ。」

と笑った直人さん。


「3人目、おめでとうございます。

よかったですね。」

冷たく返すと、

直人さんは不意に、

「…その子は誰の子?」

低い声を私に向けた。

は?どういうこと?

ギロリと睨みつけるように直人さんを見ると、

直人さんも私を鋭い瞳で見ていて、

「…私は大輝としかそういう行為はしてません、とは言えないですけど、

大輝の子なのは確実です。」

…どういうこと?と聞いてきそうな直人さんに

「中三の頃襲われたんです。

それからはずっと大輝だけです。」

声は、震えていないだろうか。

あの襲われていたということが

最近またフラッシュバックする。

大輝の隣にいないと、こんなにも私は弱い。

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