君がくれたもの


「日向!もう少し静かに降りなさい!」

バスタオルを持ちながら中へと叫ぶと、

「だって〜!
雄大に殺される!」

洗面所の方から聞こえてくる日向の悲痛な叫び。

あらら、雄大くんリビングにいるのに…

苦笑いの私に、

恐ろしいくらい満面の笑みの雄大くん。

…うん、放っておこう。

そう思ってまたバスタオルを干して、

大輝のワイシャツを干そうとすると、

ガチャッ

「…ぎゃぁぁあーーー!!!」

日向の悲鳴。

このパワフルさは誰に似たのだろう…。

と、呑気に考えながら、陽輝のTシャツをハンガーへとかけると、

「ごめんなさいぃーー!!」

「…あ、朝ごはん雄大くんの分もキッチンにあるから日向とってきて食べちゃいなさい。」

とリビングに向かって言うと、

「…は〜い。」

疲れ切った日向の声。

…こちょこちょでもされてたんだろう。

少しすると、

「「いただきまーす。」」

2人の声が聞こえた、

青空の下、

「日菜子〜!」

大輝の声に振り返ると、

「今日事務所休みだった!」

あはっ、と帰ってきた大輝。

…言われてみれば今日休みって騒いでたよね。

いつものように見送っちゃった。


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