君がくれたもの
「…。
で?」
俺この子と話したことないよな?
名前も知らないし。
「……私、日菜子先輩に似てるし、日菜子先輩の変わりでもいいんです。
お願いします。
私と付き合ってください。」
……
泣きそうになりながら俺を見つめる女の子。
「…ごめん。
日菜子の代わりはどこにもいないんだ。
それに、俺が代わりになってくれって言ってもきっとあとから君が辛くなると思う。
どんなに日菜子に似ていても俺は日菜子しかあんなに愛せない。
それに、君が俺を想ってくれてるくらいに君を想ってくれてる人はいるよ。」
そう言って、階段の影に隠れてる男を指差すと、
目を見開いて振り返った女の子。
「俊司?」
「…美波。」
バツが悪そうな顔をした男に
「…絶対この子手放すなよ。」
と言って俺は改めて校舎から出た。