君がくれたもの
通い慣れた桜並木。
4ヶ月前までは笑顔の日菜子が俺の隣で歩いていた。
つい、最近までは俺のすぐ隣に日菜子がいたんだ。
そう思った瞬間とめどなく溢れてくる涙。
止まらなくて、
日菜子との楽しかった思い出ばかりが蘇ってくる。
女々しくてもいい。
弱々しくてもいい。
バカだと思われてもいい。
…ただ、
ただ、
もしも願いが叶うなら俺は日菜子に会いたい。
他の男の隣で笑っていたとしても、
俺に笑いかけてほしい。
大輝、ってまた呼んでほしい。
もうこの願いが叶うことは一生ないんだろうか。
…諦めちゃダメだ。
俺は涙を拭って日菜子の家へと足を向けた。
ピーンポーン。
割と新築な感じの日菜子の家。
「…はーい。」
ガチャッ
「…大輝くん。」
切なそうな笑ったおばさん。
「どうぞ。」
と今日もスリッパを差し出してもらいリビングへと通された。