君がくれたもの
「…卒業おめでとう。」
と笑ったおばさんは俺に花束を渡してきた。
笑いながら、
「…ごめんね、こんな日まで来てもらっちゃって。」
そう儚く笑ったおばさん。
「…ありがとうございます。
いえ、俺が来たくて来てるだけなんで。
毎日毎日すみません。」
と言って謝ると、
「なんで謝るのよ?
私は嬉しいわよ。
日菜子をこんなに愛してくれる人がいるんだもの」
とニコニコ笑ったおばさんは、
不意に真剣な顔をして、
「…大輝くん、今日は特別な日だから教えてあげる。」
そう言って、
「……日菜子は妊娠してるの。
誰の子かは言えない。
けど、日菜子はその子を育てるために病院に入院してるの。」
…頭が真っ白になった。
誰の子か言えないってことは俺以外のことも、
いや、そんなはずない。
だけど段々と潤んでいく瞳。
「…大輝くんの頑張り次第で日菜子に会えるか会えないかは決まるわ。」
そう言って笑ったおばさんは、
「あら?バイトの時間は大丈夫?」
と言ってきて時間を見ればバイトの時間。
俺は、お邪魔しましたと言って日菜子の家を飛び出した。