君がくれたもの
「え〜?
なに言ってるの?日菜子ちゃん。」
ヘラヘラした笑いじゃなくて、
優しい笑顔に不覚にも胸が高鳴った。
「…。」
じろりと睨みつけても、
変わらず笑っている金澤に
私はため息をついて、
自分の席へと座った。
そして、苦手教科の数学のワークの宿題を開いて一問解いた時、
「そこ、違う。」
ふわりと鼻を掠めた柔らかい柔軟剤の香り
え?と思った時にはやつの顔がすぐ横に来ていた。
「この場合公式は、こっちを使うの。」
と言うと、
さらさらと方程式を書いていくやつに目を見開いた。
「これをここに代入して、」
と、すらすらわかりやすく教えてくれる金澤。
今までわからなかったことが嘘のように簡単に頭の中に入ってきた。