君がくれたもの


そのままの勢いで抱きあげられた私は、

金澤に抱きついた。

「〜〜っ!

かなさわぁっ。」

「日菜子、よかった。」

いつもと違う口調の金澤に高鳴る胸。


泣きながら抱きつく私を

しっかりと抱きしめ返してくれてる金澤。

「日菜子ちゃん、」

私を呼ぶ声に、

「呼び捨てでいいよ。」

気づけば泣きながら、

「ううん、呼び捨てで呼んでほしい。」

笑いながらそう言っていた。



しばらくして落ち着くと、

「心配したんだから。」

と、大変お怒りの金澤サン。


「…ごめんなさい。」

こんなに私に対して怒る金澤は初めてで、若干落ち込む私。


そんな私をまた抱きしめた金澤は、

「〜〜っ、
本当に心配した。

死ぬかと思った。

よかった。本当に良かった。」

震える声を出しだ金澤に涙が止まらない。

金澤の背中に腕を回して金澤の肩に顔を埋めて、私も涙を流しながら頷いた。


「おばさんから電話があったんだ。」

ゆっくりと話し始めた金澤。



< 42 / 302 >

この作品をシェア

pagetop