君がくれたもの



やっと気づいたの。

あの時の男の子が金澤って

やっと気づいたんだよ。

金澤のワイシャツの胸の部分をぎゅっとつかんで胸に顔を埋めると、

もっと強く私を抱きしめた金澤。

「…好きになるはずないって思ってた。

遊び人で一途になれない人が本当に嫌だったの。

でもね、

きっと、あの時から少しずつ金澤に惹かれていってた。

心のどこかでは、金髪の男の子が金澤ってわかってたんだよ。

だけど、悠介と同じ事をしたくないって思ってた私は
金澤が嫌いだって思ってたの。

ばかだよね、

好きの反対は無関心。

その言葉通り好きでもない人には私本当に無関心だもん。

金澤、遅くなってごめんね。

今でも、まだ金澤の隣空いてる?

こんな汚い私をそれでも愛し続けてくれる?」

ぽつりと溢れた涙に顔を上げると、

私を抱きしめていない方の腕で顔を覆って震える金澤。

「金澤?」

腕を優しく退かすと、簡単に離れた腕。

その下から見えたのは涙を流す金澤の姿だった。


「ごめん。」

何度もそう言って涙を流す金澤。

「なんで…?
謝らないで。」

そう言っても涙を流しながらごめんという金澤に、

だんだんと不安になっていく。


「汚い私がいや、なんだよね?」

引きつる笑顔を浮かべながら

震える声で聞くと、

「そんなわけない!
日菜子は汚くない!」

と叫んだ金澤に思わす目を見開いた。




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