君がくれたもの
「日菜子より、よっぽど俺の方が汚い。」
優しく私の頬に触れる、
金澤の手。
「…そんな事ない。
金澤は、汚くなんてないよ。」
そう言った私に、
切なそうに笑った金澤は、
「女の子の扱いに慣れてるよ?
今まで何人もの女の子と抱き合ったのかわからない。
それでも、汚くないって言える?」
そう言った金澤に、
ズキっと痛む胸。
「言える。
金澤は、大輝は汚くない。
だけど、
今の話聞いて、嫉妬した。
もっと早く、大輝に出会いたかった。
悠介なんかよりも早く、
大輝に出会いたかった。」
ぽつりと溢れた涙。
「…俺もだよ。
日菜子。」
満天の星空の下。
涙を流して抱き合う私達。
あぁ、こんなに後悔しても、
時間は戻らない。
お願いだから戻って欲しい。
汚くなる前の私に戻って欲しいよ。
叶うはずない私の悲痛の願いが
私の胸に走った。