君がくれたもの


「なに。」

素っ気ないのにも関わらず、

《日菜子は俺に会いたい?》

「…知らん。」

知らんくないでしょ。

会いたいでしょ、

だけど

その4文字が言えない。

かわりに出たのは、知らん。

何様だっつーの!

と自分で自分に突っ込む私。

《俺はねー、日菜子に会いたい!》



照れる。

「…へー。」

近くにあったうちわで、顔を仰いで赤みを抑えようとすると、

《ってことで、
外見て?》

「…は?」

仰ぐ手もやめて、
ベッドに立ち膝をついて窓を開けると、

ポケットに片手を突っ込んで、
片手にスマホを持って笑顔で私の方を見つめる、

大輝。

あ〜!もうだめだよ、こんなの。

こんなの考えもしなかった。

だけど、

タンクトップにミニパンにお団子という格好にも関わらず、

気づけば猛ダッシュで外へと向かうのは、

きっと嬉しいから。



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