君がくれたもの


玄関を勢いよく開けて、

後ろから聞こえる、

「日菜子もう少し静かに階段降りなさい!」

というお母さんの怒鳴り声。

だけど、
そんなのも無視して、

サンダルをなんとか履いてる状態で、

勢いよく大輝に抱きついた。

そんな私を驚きながらも受け止めた大輝。

「…ばーか。」

「え?!」

「ばかばかー。
全然嬉しくないんだからね。」

暑いのに、すごく暑いのに、

離れたくない。

ぎゅっと抱きつく腕を強めた私に、

「言葉と行動が反対。」

と笑って言う大輝に、

「うそ。

本当は嬉しい。

すごく嬉しい。」

気づけば素直になっていた。

「…好き。」

「ん、俺も好き。」

俺ものあとに続く

好き。

それがこんなに幸せなんて思いもしなかった。

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