君がくれたもの
目を見開くほどの美人。
だけど、
その人から香るのは、
以前の大輝と同じ匂いの香水。
ズキンっと痛む胸。
いやだ。
この人怖い。
ふと優香を見ると、
優香はその人を威嚇するように私の前に立ちふさがって、
「日菜子、この人に顔を見せないで。」
ぽつりと私にしか聞こえない声でそういった優香に慌てて顔を伏せると、
「そういえば、大輝は元気?
最近連絡取れなくて。
それにしても、優香本当久しぶりねー。」
と、柔らかなどこか棘を持った声でペラペラ話すその人。
大輝と知り合いなの…?
「あら?後ろの子は?」
「あんたには関係ない!」
優香の怒鳴り声。
私の頭にさっき買ったばかりの帽子をかぶせた優香。
なに?
そんなにやばい人なの?
「もしかして、大輝の彼女?」
ぴくりと反応した私の反応を見逃さなかったその人は、
ニヤリと笑うと、
「へぇ〜、そうなのね。
じゃあ、私急いでるから。
優香大輝によろしくね。
その彼女さんもまた会えるのを楽しみにしてるわ。」
そう言うとヒールをコツコツ鳴らしながら人混みへと消えていった。