君がくれたもの


ガクガク震える優香の肩に触れようとすれば振り返った

顔面蒼白になった優香。

「…優香?」

カクンッと崩れ落ちた優香を慌てて支えると、

「日菜子、あの人は危ない。

絶対会っても着いて行かないで。

大輝に言わなきゃ、

日菜子、早く早く!

大輝と佐倉のところに逃げなきゃ。」

取り乱す優香を支えながら、2人分の大荷物を持って急いで大輝と佐倉の元へと向かった。

夏なのに、ガクガク震える優香。

何故だかひどく胸騒ぎがして、

私も涙が滲んできた。

そして、

遠くから大輝と、佐倉が見えた時、

「大輝…佐倉…。」

2人の姿を見た瞬間優香がホッとするのが私にも分かった。

そして、2人は私達の異変に気付くと駆け寄ってきて、

佐倉は優香を支えて、

大輝は私から荷物を奪って私を支えた。

ガクガク震える優香を強く抱きしめる佐倉。

優香は、

「あの人がここに戻ってきてる。
大輝、和樹、戻ってきてるの!
早く逃げなきゃ、

また戻ってくる。」

そう言うと優香はガクンと完全に意識を手放した。


「「「優香!!!!」」」

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