君がくれたもの


そのまますぐに病院へと向かった私たち。

優香は、うなされながらも眠っていて、

病室の外では私と大輝の2人だけ。

「…日菜子、なにがあった…?」

大輝の震える声に、

「…大輝の前の香水と同じ匂いがした女の人に会った。

金髪で、美人で身長が高かった。

優香が私に
顔をみせるなって言ってた。

震えてる優香を、

守れなかった。」

静かに泣き崩れた私の横で、

私の頭をワシャワシャと撫でた大輝は、

「日菜子、なにがあっても俺と優香と佐倉だけを信じろ。」

弱々しく力強く私に言った。

だけど

この時の私の頭は金髪の美女の事と

優香のことでいっぱいいっぱいだったんだ。




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