『N』ー忍びで候うー
夕方、家でもマスクのままのあたしはベッドにそのまま突っ伏していた。

頭がぼうっとするような、奥歯が痛いような、、ぼやっと感だった。

ぶるるっ、、机の上の携帯が震えた。

もぞもぞ手を伸ばしそれに出る。

郷太だと思っていたから画面も見ずに。

「もう着いてるから、開けてくれる?」
やっぱり郷太だった。


ぼやっとした頭のまま、起き上がる。


ずび、、

玄関に出る前に鼻をかんでおこうと思った。


ママはまだ帰ってきていない時間だった。

のぞき穴から見ると、郷太が見えた。

「元気にしてた?」

ドアを開けるなり、跳ねるような元気な声が聞こえた。


だけどちょっと今はそれに応えられないくらい頭が痛い。

「あれ、元気じゃなさそうだね。」









< 103 / 159 >

この作品をシェア

pagetop