『N』ー忍びで候うー
23.密談
カラン、コロン、、、


背中でドアを閉じる。


「行った。」低い声は暗い店内に響いた。



ぽっぽっ、と明かりが灯った店内に彼らは息を潜めていた。


「また一花にいいとこ取られちゃったね。」
明るい声が言う。

「顔色が優れないようでしたね。花粉症、つらいですね、、」カウンターの奥、いつもの定位置から顔が見える。

「私が今度いい薬を紹介してあげましょう。」
三田はメガネをくいっと上げた。

「俺、一花と変わりたい。」
「でしょ?」
ため息交じりの次郎に郷太が相の手を入れた。
「俺も次は年相応の役がやりたいって意味だよ。この件が片付いたら。」

「俺と変わる?年相応に、お姉さまたちと毎日会えるよ。」
ネクタイを緩めつつ言ったのは四ツ谷だった。

「いや、そっちはお前に譲るよ。」
次郎は四ツ谷に両手を上げて見せた。


「揃ってるな。では、最終確認だ。」

一花を中心に顔を合わせたーーーー




< 111 / 159 >

この作品をシェア

pagetop