『N』ー忍びで候うー
「はいはい、大した理由じゃないですよ。
七花が悪いわけじゃないけど、運悪くというか、顔が割れちゃったんだよ。
製薬会社の人間に。」
「詳しく話せ。」
髪をかきあげた一花の、眉間に皺が寄っているのが見えた。
「初めての訓練の日、僕はある公園を指定したんだ。七花には内緒だったけど、そこを指定した理由はSSG製薬会社の役員がその近くに住んでいるから。休日に出てくる可能性もあると僕はそこに張り付いていたから。」
「それって、幸田(こうだ)?」
四ツ谷に頷いて見せた。
「それまでは一度も公園で見かけたことがなかったのに、その日は出てきたんだよ。
娘と犬と。それで何の偶然が重なってか、幸田の犬が七花にとびかかって、止めに入った幸田親子と七花は面識ができてしまった。まさかそこで顔が割れるなんて思いもしなかったけど、、その後も七花は幸田親子とたっぷり話もしてるから、面識があるどころじゃないんだよね。」
「郷太はどうしてたんですか?その間。」
「僕がちょっと飲み物を買いに離れた瞬間に犬にとびかかられてて。助けるにも、すぐ幸田親子が止めに入って、怪我もないようだったから。そのまま親子が離れるまで、隠れて見てたんだよ。」
「今接触するわけにはいかないですからね。。」
三田がメガネをずりあげた。
「七花に理由は言ったのか?」
「ありのままは言えないよ。決行の内容にもろ関わることじゃん。他の理由で伝えたけど?」
「どんな理由を言ったんだ?」
「どうして?なんで一花が気にするの?納得できてないみたいだったの?」
それまで僕に集中していた視線の流れが変わった。
七花が悪いわけじゃないけど、運悪くというか、顔が割れちゃったんだよ。
製薬会社の人間に。」
「詳しく話せ。」
髪をかきあげた一花の、眉間に皺が寄っているのが見えた。
「初めての訓練の日、僕はある公園を指定したんだ。七花には内緒だったけど、そこを指定した理由はSSG製薬会社の役員がその近くに住んでいるから。休日に出てくる可能性もあると僕はそこに張り付いていたから。」
「それって、幸田(こうだ)?」
四ツ谷に頷いて見せた。
「それまでは一度も公園で見かけたことがなかったのに、その日は出てきたんだよ。
娘と犬と。それで何の偶然が重なってか、幸田の犬が七花にとびかかって、止めに入った幸田親子と七花は面識ができてしまった。まさかそこで顔が割れるなんて思いもしなかったけど、、その後も七花は幸田親子とたっぷり話もしてるから、面識があるどころじゃないんだよね。」
「郷太はどうしてたんですか?その間。」
「僕がちょっと飲み物を買いに離れた瞬間に犬にとびかかられてて。助けるにも、すぐ幸田親子が止めに入って、怪我もないようだったから。そのまま親子が離れるまで、隠れて見てたんだよ。」
「今接触するわけにはいかないですからね。。」
三田がメガネをずりあげた。
「七花に理由は言ったのか?」
「ありのままは言えないよ。決行の内容にもろ関わることじゃん。他の理由で伝えたけど?」
「どんな理由を言ったんだ?」
「どうして?なんで一花が気にするの?納得できてないみたいだったの?」
それまで僕に集中していた視線の流れが変わった。