『N』ー忍びで候うー
しばらくしてまた一花が止まった。

「ここだ。」


はぁはぁ、、


「松原耳鼻咽喉科、、」見上げる先に医院があった。

一はそれを見上げている。
拳をぐっと握りしめて。

「耳鼻咽喉科、これに関係があるのか?」

「、、いや、恐らくこの医院に関係はないと思う。
ただ、発信場所の住所はここになっていた。」

一瞬だったが、一花の表情を俺が見逃すはずがなかった。医院を見上げてはっとしていた。
一がこんなに動揺を見せることなんてーー、

「三田、俺だ。何か他にわかったことは?」

一花は三田に電話を掛け、何も逃すまいとばかりに辺りに目を配っている。

日は既に落ち、ここで何か手がかりを探すにも薄暗い街灯だけでは困難に思われた。


携帯を切った一花はやっと俺を見た。
「七花の携帯の現在位置が特定された。」

「意外だな、わかるなんて。

で、どこだ?」


「先代と同じところだ。」


「な、、」

一花の声は震えているようだった。

怒りで。。




こんな一を見るのは先代が拉致されたとわかった時以来だった。



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