『N』ー忍びで候うー
七花をぎゅっと抱きしめた。
頬は赤く腫れ上がり、血が滲んで見える。
一花はそっと彼女の涙の跡を拭った。
「こちらも回収した。」七花を縛っていた手枷、猿轡を外し、肩に担ぎ上げた。
次郎は用意していたマスクを先代に被せ、助け起こしていた。手を添えた身体は、次郎が知っていたものよりも随分痩せて小さくなっていた。
「歩けますか?」そう言う次郎に、先代はにっと口元を上げて見せた。
「誰に言ってる。まだまだ小僧には負けん。」
相変わらずだと、次郎は小さく安堵した。
「では、走りますよ。」一花も先代を見つめ、笑みを浮かべた。
頬は赤く腫れ上がり、血が滲んで見える。
一花はそっと彼女の涙の跡を拭った。
「こちらも回収した。」七花を縛っていた手枷、猿轡を外し、肩に担ぎ上げた。
次郎は用意していたマスクを先代に被せ、助け起こしていた。手を添えた身体は、次郎が知っていたものよりも随分痩せて小さくなっていた。
「歩けますか?」そう言う次郎に、先代はにっと口元を上げて見せた。
「誰に言ってる。まだまだ小僧には負けん。」
相変わらずだと、次郎は小さく安堵した。
「では、走りますよ。」一花も先代を見つめ、笑みを浮かべた。