『N』ー忍びで候うー
扉の前で見張っていた郷太は、出てきた彼らを見て頷いた。

郷太はこれが初対面となる先代を見て黙礼をした。相手はそれに応えた。
郷太は肩に抱え上げられた七花に視線を移した。

「大丈夫だ、マスクも足りないのでそのまま眠らせている。行くぞ。」
手を貸そうかとした郷太に、それには及ばないとばかり、一花はそう言うと七花に触れさせないかのようだった。

「救出できたね、では次だ。」
3人の耳元に四ツ谷の声が聞こえてきた。


耳のイヤホンからは別所でモニターを見ている四ツ谷からの声が聞こえていた。三田もその傍らにいる。

「水爆弾の催眠効果は3時間。大丈夫、そのあたりに起きてる人はいないようです。」モニターを見て三田が告げた。
「では予定通りの道で帰って。どうぞ。」四ツ谷もそう付け加えた。

「了解。」
「了解っ。」
「らじゃ〜♪」

闇の中を影が走り出した。




< 125 / 159 >

この作品をシェア

pagetop