『N』ー忍びで候うー
笑いの止まらない郷太を掴み、一花はそれを部屋の外へつまみ出そうとした。
「次郎。」
「はいはい、俺もね。ちょっと待って。」


ふぁさっと布団がかけ直された。
布団の上からそっと頭をなでられる。
「無事でよかったな。早く元気になれよ。」

次郎の声だった。



「はいはい、郷太ね。下に連れてくよ。こいつも七花が心配なだけなんだぜ。」

「あー、もう笑ったりしないから〜、、」
ごねる郷太の背中を押して次郎は降りて行った。降りる途中、次郎は一と七花のことを思っていた。

『弟子みたいで、守りたくなる存在で、、
師匠みたいで、お日さまを思わせる、、

案外いい関係なんじゃ、、

でもゴリラって?


よくわからんな。』

次郎はふっと笑った。


< 134 / 159 >

この作品をシェア

pagetop