『N』ー忍びで候うー
振り向くより早く、思い切り何かに引っ張られた。

「きやぁっ!」
「貴様ぁっ!」
「またお前か。」

「い、いっ、、!」
苦しいくらい、ぐっと抱きかかえられる。

「ちょっと待ってろ。すぐに片付ける。」
あたしを抱えたまま、一花は後ろへ大きく跳んだ。
「い、きゃーっ!」
目の前に、あの時の同じ忍者が凄い形相で迫ってくる。
あたしは一花の首にぎゅっと腕を回した。


「今度は邪魔させないよ。そうだ、この間のお礼もしなきゃね。」
「気など使わず、さっさと消えろ。」

「そう遠慮するな。」
「いいのか?こんな人目に立つところで。
望むなら、手加減はしないがな。」

一花は希代香を背中へ隠すように立った。


「その口、後悔させてあげるよ!」
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