『N』ー忍びで候うー
一気に風が吹き抜けていった。
風に乗ってサイレンの音が微かに聞こえた。
「あっちです!」誰かが叫ぶ声も。
「ち、今回は預けておいてやる、、!」
ぞくりとするような冷たい目を向け、女忍者は走り去って行った。
「一花!」
パトカーかと思ってそちらを見ると、人影が見えた。一花の腕を掴む。
「あいつだ。」
「え?」
「郷太だ。声でわからなかったか?」
目を凝らして見る。
「修行が足りないな。まぁ、、当然か。」
やっとその人影がはっきりとしてきた。
「ぁ!」
「へへ。うまくいったでしょ?」
「どうして?!」
あたしは二人を見比べた。
「どうしてここにいるの?!」
お日さまの匂いがふわっと降りてきた。
大型犬のようで人懐っこい笑顔が目の前にあった。