『N』ー忍びで候うー
「心配ない、そのまま座っていろ。六車だ。」
あたしの視線に一花さんが答えてくれた。

そしてすぐに扉が開いて、あのマスター風の六車さんが現れた。
「美味しそうな香りだ。」
「今コーヒー、淹れてるよ。」
キッチンから覗かせた顔に六車さんが軽く手をあげて応えた。それからあたしを見る。

「わぁ、、それはまたすごい包帯だね。さぞ昨日の特訓がすごかったんだろうね。よく眠れたかな?」
一花さんとあたしを交互に見る。

「すごい、、何でもお見通しなんですね。」
くす、っと笑うと希代香の隣に腰を降ろした。
「そんなことはないよ。」

淹れたてのコーヒーを持って郷太くんが帰ってきた。
「頭首からの連絡だ。」



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