『N』ー忍びで候うー
「毎日朝からすごいね。
七花がまだ降りてこないんだけど、僕が見に行こうか?それとも一花が行く?」

中に入ると、すでに部屋は暖かだった。
コーヒーとパンの香ばしい香りがしている。自分しかいないときは寒いくらいの家が、人がいるとこんなにも温かく生活の香りがする。
時間はいつもの朝食の時間になっていた。

「めずらしいな。いつもは腹ペコだと言って降りてくるのに。」

「でしょ・・。」
郷太が階上を心配そうに見やる。
その肩に一花は手を置き、今にも登っていきそうだった郷太を押しとどめていた。
「わかった。見て来よう。」
「そう?じゃ、、お願い。」

郷太がちらっと一花を見たが、一花の意識はもう階上に向いていた。
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