『N』ー忍びで候うー
香ばしい香りが漂ってきていた。

「ん〜、いい香りですね。コーヒーと良く合いそうです。チーズケーキだと言ってましたが、ナッツの香りですか?」
「ふふ。」
にんまりした七花の手元にはオーブンから出したばかりのベイクドチーズケーキがいい色に焼けていた。
「砕いたクルミも載せたの。美味しそうでしょ〜。」
「ええ、このままお店に出しても良さそうです。」
六車の言葉に顔がほころぶ。

カラン、コロン♪
タイミング良くドアの鐘が鳴った。

明るい窓際の席に案内する。
来店したのは女子学生と保護者のようだった。


「冷まして召し上がっていただきましょうか、ね?」
六車がにこりと微笑んだ。
七花は飛びあがりそうなほど喜んだ。

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