『N』ー忍びで候うー
目の前に広げられた紙に次郎が線を書き込んでいく。

「ここだ。」

バッ印。

「四ツ谷によると、警備はココとココと、、」

SS国際大学の内部地図、その箇所、箇所に印が増えていく。
大学内部に事務員として潜入している四ツ谷からの情報だった。


「侵入時、これを使う。」
一花は隠しておいた紙袋を取り出していた。
静かにテーブルに載せる。

「水から作った催眠ガスで殺傷能力は無し。白煙で一気に視界を奪い、気づいたときにはすでに眠りに落ちている。」
三田が薄い眼鏡をずりあげながら加えた。

「僕たち用には別にマスクを作ってあるよ。」

全員の視線が大きなバツ印に集まる。


「ここに先代が、、」
「来月、、15に。」


直後、次郎が広げていた地図をライターの火で燃やした。

頷き合い、沈黙が広がった。



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