『N』ー忍びで候うー
「だんだん暗くなってきたぞ。こんなところにひとりでいると危険じゃないか?」


聞き馴染みのある声がした。


「早く帰れ。」

どかっと隣に座った。


「一花、、」

「ち、男連れかよ。」

いつの間にそこにいたのか、千鳥足の酔っ払いが遠ざかって行った。

辺りはぐっと暗さが増してきていた。

「無防備すぎだ。」
撃退の為に隣に座ってくれたのだとわかった。
途端、どっと目に涙が溢れてきていた。

「いひ、、か、、」


やっぱり一花を見ると心が緩んでしまうみたい。


自分を活かせる場所をみつけたと思ったら、
それは、活かしてはならない場所だった。


やりきれなかった。。




一花は静かに肩を抱いてくれていた。

あたしは思いのままに泣いた。
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