私のおにいちゃん
*霧夜*
「どうしようもないだろ!?
俺だって、助けたいけど、
これ以上はどうしようもないんだ!
それに、
壊れてるのはあいつだけじゃない。
俺もだ。」
ユリは目を見開いた。
無理もない。ユリが俺たちと
出会ったのは、俺たちが壊れてからだ。
壊れる前の俺らのことをユリは知らない。
*零斗*
「なあ、ユリ、いるか?」
教室の扉を叩く音が聞こえた。
ゼロは幾分か落ち着きを取り戻している。
ユリは落ち着きを取り戻そうと、
一度深呼吸をした。
*ユリ*
「ふう、いるわ。」
*霧夜*
「俺は邪魔みたいだな。」
俺はその場を立ち去ろうとした。
せっかくのムードを
壊すわけにはいかない。
ま、その場を立ち去るだけで、
こっそり覗き見するがな!
*零斗*
「いや、いい。霧夜もいてくれ。」
*霧夜*
「……」
言い返す言葉もない。
俺は何も言わず、腰を下ろした。
*零斗*
「さっきは、悪かった。
ユリも霧夜も悪くないのに。」
*ユリ*
「みなまで言わなくていいわ。あんたが、
妹の事どれだけ好きなのか
知ってて病院に連絡したんだから。
私にも非はあるのよ。」