サソリちゃん
彼とは、前に彼が私に話しかけてきてから仲良くなった。
向こうは自分のことを知っているようだけれど……自分は知らない。
まぁ、そんな感じ。
「サソリちゃん」
最初はそう、優しく呼びかけてくれる彼に。
「放っておいてよ」
私は冷たく突き放してしまった。
噂の私のことをからかいにきたのだろう−−−正直、そう思っての対応だったのだが。
「そっか。
だけど僕、君と仲良くなりたいから、無理な話かも。
……迷惑でなければ、これから君のところに来てもいい?」
めげない返答が返ってきて。
私は思わずあんぐりしてしまった。
「だめ?」
「いっ、いいよ!」
彼の期待している、純粋な目に。
私はそう言うしか選択肢が残されていなかった。