ハイスクール・カンパニー
さんざん、威嚇するようなこと言って来たけれど、具合が悪い時は、心細くなるものだ。それは、どんな人間でも同じだ。たとえ完璧に見える人でも。
具合の悪い時のゴネ方は、弟の陸と似ている。
素直につらいと言えばいいのに、怒ったようにあっちへ行けという。
理貴は、しばらく伊都の体の上で心地よい寝息を立てている。
でも、早く熱を下げて薬を飲ませなくては。
体もしびれてきた。
理貴の体を横にどけようとしたけれど、体をずらすとすぐに引き寄せられる。
「理貴さん、体を冷やすものを持ってきますから、体をどかしてください」
「嫌だ。ここにいろ。君の体のほうが気持ちいい。直接触れてもいい?」
「ダメです」
いつの間にか理貴の手が、中に進入して胸のふくらみを探し当てていた。
「ダメです。病気の時くらい、言うことをきいてください」
理貴がブラの中身に気をとられている間に、理貴のパジャマのボタンを外し着ているものを引き剥がした。
「いいよ。自分でやるから」
理貴は気前良く、下着一枚になった。
「ダメ。全部脱いで」
理貴の驚いた顔が忘れられない。
「理貴さん、ダメです。寝ててください」
伊都は理貴を寝かして布団をかける。
「着替えを取ってきます」
「ああ、そうだ。ダメです。さあ、それ貸してください。男性の物なんて見慣れてますから」
「ええっ?」
「弟と父親ので」
理貴は、脱いだばかりの洗濯物を伊都に渡した
やられた。
この俺が、手玉に取られるなんて、信じられるだろうか?
彼女は、シーツを取り替え、
着替えさせて氷のうで冷やし、薬を飲ませてくれた。
彼女に抱き起こされ、子供みたいに扱われるのは心地よい。
こんな風にされるのは、まったく記憶になかった。