ハイスクール・カンパニー
どんな状態に置かれても、自分を見失うな。
節度を持って。いつも他人の目を気にしなければならない……
伊都は、テキパキと作業を進めて、理貴がおかゆを食べ終わる頃には、洗濯も掃除も終えていた。
理貴は、人の手に自分のことを委ねるのは、好きじゃない。
なのに、彼女の世話になるのは、どこか心地よいと感じるのは、どうしてだろう……
あの腕の中がどれほど心地よいのか、忘れられない。
どうしたら、あの腕で抱きしめてもらえるだろう。そんなことずっと考えていた。
「理貴さん?食べ終わりましたか?」
「ああ。ありがとう」
理貴は堪えきれず、笑いだした。