ハイスクール・カンパニー
テーブル一杯に並べられた料理、
テーブルクロスにナプキン、
給仕してくれる人がいれば、高級レストランのよう。
「こんなことして…具合は大丈夫なんですか?」
「君のおかげでね。さあ、座って温かいうちにたべよう」
「もったいないな…こんなきれいなの。二人だけなんて」
「電気消すよ」
理貴は、キャンドルに火をともしながら、伊都に微笑んだ。
電気を消すと、
リビングのガラス窓1面に横浜の夜景が写し出された。
「うわああ……きれい!」
思わず伊都が立ち上がった時、理貴はなんとも幸せな気分になった。
理貴には、不思議な感情だった。誰にも感じたことのない。
「いいよ、気のすむまで見ておいで」
普段なら、食事を前にして、席を立つなんて考えられないし、食事の相手がもしそんな行動を取ったりしたら、容赦なく冷ややかな視線を浴びせるのに。
伊都に対しては、ただ可愛いと思う。苛正しいなんて思わない。
自分でもおかしいと思う。相手にただ、微笑むだけだなんて。