ハイスクール・カンパニー
「来栖とは、小学生の時からの付き合いなんだ」
理貴が伊都に囁くように言うから、来栖さんが警戒し出した。と伊都は思った。
「アメリカに留学したのも一緒だったって、ケンサクさんから聞きました」
「ああ、長い付き合いだな」
伊都は、笑いそうになった。
性格から容姿まで何もかも正反対だ。
「それで、伊都ちゃんは、今何をしてるの?」
見かけに騙されたらいけないと伊都は思った。
ちゃんとタイミングを見計らって聞いてくる。
来栖さんは、人当たりはいいし、しゃべり方も優しい。
仕事以外の理由でここで何をしているのか、と聞いているのだ。決して優しいだけの人じゃない。
「人の邪魔をしておいて、なんて言いぐさだ」
理貴が来栖に文句を言った。
「まあ、そう怒るなって」
「こいつが女の子と二人で、食事だなんて珍しくてね、つい聞きたくなっちゃった。伊都ちゃん美味しい?」
「はい。来栖さん、ご心配なく。私は理貴さんが、ちゃんとベッドに入るまで見届けてから帰りますから」
来栖は、目を大きくして驚いた。