ハイスクール・カンパニー
来栖さんが食事をしている間、伊都はおかゆを作って理貴に食べさせた。
薬を飲ませたり、熱を測ったり伊都に世話を焼いてもらって、ようやく眠りについた。
部屋を出て、エレベータが下に着いた頃、来栖が口を開いた。
「君みたいな子には、単刀直入に聞いたほうがいいと思うな」
来栖さんが、マンションのエントランスのところて、急に立ち止まった。
伊都は、来栖さんが送るといった時に、なんとなくこうなることは予測できていた。
「どうぞ。聞きたいことがあれば、何でも聞いてください」
伊都は、来栖の方を向いた。
「はははっ、ずいぶん準備がいいんだね」
来栖は、のぞき込むようにして自分より背の低い女の子に笑いかける。
「ええ、歩きながらお話してもいいですか?」
伊都は、来栖にそう断って歩き出した。
「ああ、もちろん。歩きながら話そうか」
「はい」
「理貴のことどう思ってる?」
本当に単刀直入だ。
「えっ?理貴さんですか?」
「君、理貴のことが好きなんじゃないの?」
「好きですよ。他のメンバーと同じように。全力で支えたいと思います」
「支える?何だよ、それ」
初めて来栖が伊都に笑いかけた。
「何となく。メンバー全員で支えてるっていう感じがしたので」
「そっか……まあ、そうかもな」