ハイスクール・カンパニー
「君は下心があって理貴に近づいてるんじゃないといいたいの?」
悪いけど、心配しなきゃいけないのは、そんなことじゃないと思った。
「もちろんです。来栖さん、そんなことより理貴さんの体調なんですけど」
「単なる腹痛じゃないの?」
来栖さんは、伊都のペースに巻き込まれて
「精神的なものだと思います。ずっと手を握ってあげたらすっと眠りましたから」
「ええっ、今、何ていった?」
「あ、あの…変な意味じゃなくて、ベットの側で理貴さんについててあげたんです。もちろん、下心はありませんよ」
「それ、理貴が許したの?」
「うなされてましたけど、無理やり世話したんです。着替えさせて熱を測って。そうしたら、すごく暴れられて」
「それは暴れるだろう。でも、あの理貴が?まさか信じられない」
「まずかったですか?」
来栖は、違うって言うように首を振った。
「伊都ちゃん、俺と理貴はね、アメリカにいる頃、誘拐されたことがあるんだ。だから、理貴が心を許してないのに、寝室に君をいれることは、まずないはずだか……」
「ずいぶん怖い顔で睨まれましたけど、病人ですから、気にせず看病しました」
「ほんとなの、それ?あの理貴が?」
来栖さんが、目を丸くして驚いてる。