ハイスクール・カンパニー
「ごめんなさい。あの、私、理貴さんのために何かしたくて……」

「そう。ありがとう……なら少し寝ていい?」
理貴も疲れているみたいだ。

それはそうだ。伊都が帰ってからも理貴は外国と電話したり、メーカーの担当者と金銭面でのやり取りをしなければならない。

「はい」

伊都の小さな体に、理貴が寄りかかってきた。寄りかかるなんてもんじゃなく、覆い被さって伊都の上に乗っかっている。


理貴の髪は柔らかくふわっとしている。

理貴から受ける印象では、あれだけ強くて他の人を寄せ付けないのに、髪だけがふわっと優しく柔らかい。


最初はそう思っていた。


何でも機械的に判断しているのかと。

けど、しばらく一緒にいて、受ける印象は、伊都の中で変わりつつある。


ひどく神経が細かく、傷つきやすい人なのだ。


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